ポーランドと日本の最新アートを京都で
今年はポーランドと日本の国交樹立100周年の節目の年。それを記念して、6月23日まで日本とポーランドの現代美術を紹介する展覧会「セレブレーション-日本ポーランド現代美術展-」が京都で開かれています。小学校をアートセンターにした施設や町家をギャラリーとカフェに改装したスペースなど、展示会場もユニーク。のぞいてみたらなかなか面白い展覧会でした。
メインの会場は明治2年に開校し、平成5年に閉校した「明倫小学校」を改修した「京都芸術センター」。展示は主にもと教室だったスペースや講堂、和室などで行われているのですが、廊下に何やら不穏な空気が漂っています。よく見ると窓枠や水道の蛇口などに「毛皮」が張りついているのです。廊下の奥や階段の踊り場には、机や木から兎の頭が“生えて”いるオブジェが置かれています。これは参加作家の一人、東影智裕の作品。毛皮や動物の頭のように見えるものは窓枠などの“土台”に薄い樹脂を少しずつ貼り合わせ、針先で毛並みを入れていく、という根気のいる作業で作られます。できあがったものはかなりリアル。動物の体の一部がそこに生えているように見えて、どきっとさせられます。生命と身体、有機物と無機物、いろいろなことを考えさせるアートです。
教室の中に、ささやかだけれど存在感のあるオブジェを配したインスタレーションを展示しているのは今村遼佑。室内をよく見ると窓枠やバケツの影に小さな光が浮いているのが見えます。小さな鉢植えやスノードームもインスタレーションの一部です。スノードームにはワルシャワのシンボル、人魚があしらわれています。小さな光が何を現しているのか、見る人によってさまざまな思いを込めることができます。
ロベルト・クシミロフスキはテラスに鳥小屋を出現させました。テラスから見下ろすと近くの木には大きな卵が載っているのが見えます。オープニングでは作家自ら鳥になり、止まり木の上でさえずる、というパフォーマンスを見せました。鳥小屋や卵は本物そっくりなのですが、どう見てもサイズが大きいし、人間がさえずったり巣を作ったりしています。実物とのズレが、私たちの認識を揺さぶります。
この展覧会では京都芸術センターの他にもサテライト会場があります。そのうちの一つ「The Terminal KYOTO」は昭和7年に建てられた京町家を復元したもの。間口が9メートル、奥行きが50メートルもある「うなぎの寝床」と呼ばれる作りで、道に面した部分で呉服商が営まれていました。
こちらでもまず東影智裕作品が出迎えます。木の枝から兎の頭が生えているのです。座敷には大きな牛のような動物の頭が。大きさが1メートル近くあり、かなりの迫力です。